永井政光建築設計事務所HPはこちら![今日の一枚]






今日の一枚は、江戸時代(天保年間)の農家である
旧林家住宅です。
この建築は「千葉県指定有形文化財」で、林家の六代目伊兵衛が大原幽学に
指導を受けて建築したものです。
ちなみに大原幽学とは、幕末の混乱した世相の中、農民の教化と農村改革運
動を指導し大きな事績を残した人物です。道徳と経済の調和を基本とした独自
の学問である性学を説きました。
私は、3年間通った「木組ゼミ」という木造伝統工法の最先端の勉強会の中
でここを訪れました。
なかなか江戸時代のまま保存された住宅を観る機会はないので、貴重な経験
をさせて頂きました。
実際に観て、佇まいの雰囲気がいいなぁと思いました。ふかふかした茅葺(
かやぶき)屋根に覆われた、シンプルなプロポーションの家は、やっぱりすて
がたい魅力があります。
ただ、茅葺屋根は、防火の点が最も問題です。江戸時代までの日本において
大火事はよくあることだったのですが、明治時代に屋根を瓦にしたり、壁をモ
ルタル仕上げにするなど、内田祥三さんを中心に準防火という制度を確立した
ために、現在の日本では大火事はなくなりましたが、木造家屋の多くの街並み
が味気ないものに変貌してしまいました。
以前とりあげた竪穴式住居から、神明造、和様、大仏様、寝殿造、禅宗様、
書院造、城郭、茶室、数奇屋、町家、農家など、日本には時代によって、また
地域や用途によって、さまざまな建築があります。
それらの建築と、現在までの変遷過程をじっくり眺めますと、私は明治時代
の西洋文化、西洋住宅の輸入と模倣があまりにも急激すぎたのではないかと思
っています。それだけ激動の時代だったということもいえると思いますが、「
日本らしさ」、「日本建築の素晴らしさ」をもっと取り入れた、今までの日本
建築とは違った、今だからこそできる建築があるのではないかと思っています。
今後も理想を模索しながら、一棟一棟、その時の最高の建築を生み出して生
きたいと思います。
場所 :千葉県千潟町長部399-1番地
作品名 :旧林家住宅(天保年間(1830〜1843年の間))
※千葉県指定有形文化財
建築家 :不明(大原幽学がアドバイス)
撮影日 :2008.8.3
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posted by てくてく at 00:37| 愛知 ☁|
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