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2012年05月06日

建築探訪73(軽井沢の山荘/吉村順三)



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[今日の一枚]


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 今日の1枚は、建築家 吉村順三さんの珠玉の一品である、軽井沢の
山荘
です。

 この軽井沢の山荘は、私が大学時代からずっと、一番好きな建築でした。

 実際に観れて感無量で、はるばる軽井沢まで観にきて良かったです。写真や
図面などを何度も見ていたので、大体この建築のボリュームやイメージは出来て
いて実際に観てそんなにイメージと違う点はありませんでしたが、やはり実際に
観るとリアルに自分の実作と比較できるので、今後に生かせそうです。



 この辺りは旧軽井沢銀座周辺で高級別荘地となっているので、大きくて立派な
別荘が数多く建ち並んでいるのですが、この吉村さんの小さな山荘は、87.7u
(増築前)しかなく、材料も特別高級なものを使っているわけでもありませんの
で、周辺の高級別荘を対極的です。この軽井沢の山荘は、伊勢神宮にも通じるよ
うなシンプルで簡素な美を堪能でき、吉村さんの建築に対する考えや哲学を実感
することが出来ましたし、その考えや哲学にあらためて共感することができまし
た。

 この建築は、吉村さんの師匠ともいえるレーモンドの設計した軽井沢夏の家に
似ている箇所が多々あり、設計のよりどころとしたような気がしますが、吉村さん
独自の箇所や、敷地条件に合わせたであろう箇所もたくさん伺えます。




 具体的にこの建築を観て感じたことを、少し書かせて頂きます。

 まず建物の配置です。アプローチから見上げるようにそして、少し斜めに配置
されています。寺院の伽藍配置もそうですが、この建築も、人のアプローチを配
慮して、見栄えのする角度で、計算ずくで上手に配置されています。

 あと、基礎コンクリート(1階の壁を兼用)の高さです。これは吉村さんが
たびたびやられる手法ですが、特に別荘建築で、湿気対策も考慮するとかなり
実用的だと思いました。2階の外壁の木部は大分痛んでいましたが、やはりコン
クリート部分は耐久性が抜群です。片持ちのポーチ部分も、コンクリートだから
こそ、それだけのスパンを飛ばせて、本当に無駄のない、効率的な空間づくりで
した。

 あと、屋根形状です。これ以上にないくらいシンプルな方流れの屋根で、水勾
配も十分取れており、軒も90cm以上出ているので、コスト的にも、デザイン
的にも、漏水対策としても理に適っています。
 多くのハウスメーカーや建売の家だと、屋根に谷ができていて、長い期間で考
えると漏水の原因になりかねないですし、モダンな庇を出さない建築ですと、端
部の納まりをシンプルでかっこよくしようとするほど漏水のリスクが高くなって
しまいます。某日本建築学会賞を受賞したモダンな建築も漏水したそうですし、
機能とデザインとコストのバランス、両立というのは悩ましい問題ですが、吉村
さんの建築は実用性を優先しつつ、デザイン的は十分に配慮しつつ華美にはさせ
ない、まさにこれこそ王道だと、私は思います。



 この建築は、本当に見所が多くて、平面プランも、断面計画も、絶妙に配置され
た人間の個々の臓器のように無駄がなく、実に見事に出来ています。また、ディテ
ールも見所満載で、木製建具の納まりは言うまでもなく、例えば階段の踏板に
6mmの勾配をつけていたりなど、実務のプロも唸りたくなる箇所が満載です。


 この軽井沢の山荘を一つの目標として、今後も質の高い家づくりをしていきたい
と思います。



場所  :長野県北佐久郡軽井沢町
作品名 :軽井沢の山荘(小さな森の家)(1962年)
建築家 :吉村順三



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posted by てくてく at 13:28| 愛知 ☀| Comment(0) | 建築探訪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする






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