永井政光建築設計事務所HPはこちら!
[今日の一枚]








今日の一枚は、建築家フランク・ロイド・ライトの設計した ロビー邸 です。
この家は、アメリカのシカゴ大学のすぐそばにあります。
フランク・ロイド・ライトの初期(プレイリー(草原)スタイルと呼ばれています。
)の代表作として有名な建築です。
プレイリースタイルの特徴としては、当時シカゴ周辺の住宅にあった屋根裏、地下
室などを廃することで建物の高さを抑えたこと、水平線を強調した佇まい、部屋同士
を完全に区切ることなく、一つの空間として緩やかにつないだことなどがあげられま
す。
実際にロビー邸を観て、ライトの水平線へのこだわりを実現するための工夫を実感
することが出来ました。
例えば、煉瓦の目地寸法ですが、横目地は広く、たて目地は極限まで狭く積まれて
います。さらに、たて目地には煉瓦色っぽく着色されており、目地の横線のみを強調
してありました。
屋根もかなり低く抑えられており、(どこか日本的な感じです。)玄関付近の2階
の屋根は片持ちで2m近く飛び出ており、水平的な気分をより強調しています。
その他の感じたことは、2階へあがる室内の階段の勾配です。1段1段がとてもゆ
るくて幅広で、心地よく登ることができます。
あとは、外から覗かれにくいように配慮してありました。2階にリビングがあるの
ですが、写真では暗く見えるとおもいますが(使い捨てカメラだったのでスイマセン)
結構明るい感じで、窓ガラスには、ライト特有の幾何学のデザインがされており、外
から室内を見ると、その幾何学デザインに焦点があたり、室内がとても見にくくなっ
ています。
2階リビングの天井高さもかなり低く設定されており(実測はしてなかったのです
が、おそらく一般部が2200mmくらいだと思います。)、心地よかったです。
屋根が低いと書きましたが、その低さはかなりのもので、日本の戸建住宅がいかに
無駄に高いか、思い知らされました。建築家の吉村順三さんは、建築家は寸法に責任
を持たないといけない、というようなことを言われていますが、建物の高さや天井高
さを「どこまで下げたら」より良くなるのか、その見極めは重要で、建築家の大切な
仕事なのだと思います。
私に限らず、大抵の建築家は、建物のボリュームやちょうどいい天井高、光の取り
入れ方や外部からのプライバシーの確保、空気の流れ、などに良く配慮して設計する
のですが、このロビー邸はそのお手本のような作品だと、今改めて感じさせられまし
た。
場所 :5757 South Woodlawn Avenue, Chicago, Illinois 60637 アメリカ
建築家 :フランク・ロイド・ライト
作品名 :ロビー邸
永井政光建築設計事務所HPはこちら!
ラベル:フランク・ロイド・ライト ロビー邸
【関連する記事】
- 建築探訪94(Number11/ジェフリー・バワ)
- 建築探訪93(ルヌガンガ/ジェフリー・バワ)
- 建築探訪92(カップマルタンの休暇小屋/ル・コルビュジェ)
- 建築探訪91(ル・トロネ修道院)
- 建築探訪90(CUTビル/毛綱毅曠)
- 建築探訪89(湘南台文化センター/長谷川逸子)
- 建築探訪88(姫路城)
- 建築探訪87(Choi Box/宮脇檀)
- 建築探訪86(田園調布の家/吉村順三)
- 建築探訪85(ウィンチェスターの教会(外観))
- 建築探訪84(テート・モダン/ヘルツォーク&ド・ムーロン)
- 建築探訪83(香川県庁舎東館/丹下健三)
- 建築探訪82(神長官守矢史料館/藤森照信)
- 建築探訪81(清水寺本堂)
- 建築探訪80(スプリンググリーン/フランク・ロイド・ライト)
- 建築探訪79(香川県立東山魁夷せとうち美術館/谷口吉生)
- 建築探訪78(マリーナタワー/バートランド・ゴールドバーグ)
- 建築探訪77(モリス・ギフトショップ/フランク・ロイド・ライト)
- 建築探訪76(アメリカ合衆国議会議事堂(キャピトル・ヒル))
- 建築探訪75(聖パウロカトリック教会/アントニン・レーモンド)