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2017年08月17日

建築探訪94(Number11/ジェフリー・バワ)

[今日の一枚]

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 今回の写真は、先日研修旅行で訪れたスリランカの写真
"その2"で、スリランカが生んだ天才建築家ジェフリー・
バワが設計したNumber11です。(写真は全て私が
撮影したものです。残念ながら撮影不可の空間がいくつも
あり、その空間も非常に素晴らしかったです。ご興味のあ
る方は是非現地を訪れてみて下さい。)

 さて、Number11は、スリランカ最大の都市コロ
ンボの中心部にあり、前回の田園的なルヌガンガと対照的
に住宅密集地に建つ都会的な住宅です。広大な自然による
借景を活かすルヌガンガとは対照的に、坪庭がかなり細か
く要所要所に配置されており、緑や風、そして光が、家全
体に心地よく効果的に効いています。ルヌガンガ以上に白
色をふんだんに使った内観ですが、無機質さや単調さは感
じず、むしろ不思議なほど木の心地よさを感じました。ま
た、木だけでなく、石やテラコッタタイル、布など、自然
素材も白を基調としたからか余計に良さが活きていると感
じました。
 この建物は、スリランカで観たどの建物とも雰囲気や洗
練さなど、全くといっていいほど異なる質の高い空間であ
るのですが、なぜかスリランカ的なるものを感じました。
モダンな要素もふんだんにありますが、かといっていわゆ
るモダニズム建築とは明らかに異なります。バワの研ぎす
まされた芸術的感性とでもいったらいいのでしょうか。
空間のみならず、一つ一つのオブジェや調度品、置物など
も、どこでこんな質の高いものを見つけたのだろうと思え
るようなものが、宿泊客が簡単に触れられるところにふん
だんにあります。各部屋を丁寧かつ親切に案内してくださ
ったローハナさんによると、バワと親交のある芸術家たち
とコラボして創ったりもしていたそうです。まるで居心地
のよい美術館の中で宿泊したような気分です。

 今回のスリランカの旅行で、バワの手掛けた建築をルヌ
ガンガ、Number11、カフェ、寺院と4つ体験してき
ました。そんな中、新たな気づきや、悟りといったら大げ
さかもしれませんが、今後の設計活動をしていく上で大切
なことをいくつも得ることができたと思います。この旅行
で得たことを「日本的なるもの」として置き換えて、自分
なりに咀嚼して応用がきかせられたらと思っています。


posted by てくてく at 01:16| 愛知 ☁| Comment(0) | 建築探訪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月12日

建築探訪93(ルヌガンガ/ジェフリー・バワ)

[今日の一枚]

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 今回の写真は、先日研修旅行で訪れたスリランカの写真
"その1"で、スリランカが生んだ天才建築家ジェフリー・
バワが設計したルヌガンガです。(写真は全て私が撮影し
ました。)

【バワとルヌガンガについて】
 バワはスリランカ最大の都市コロンボの裕福な家庭に生
まれ、イギリスの名門ケンブリッジ大学で学びます。そし
て、祖国スリランカに理想郷を創るという志を立て、コロ
ンボから50km程南にあるベントタという場所にルヌガ
ンガと呼ばれる建築群や美しい庭をつくりました。

 このルヌガンガは、一日最大5組までしか泊まることが
できず、宿泊客は一軒家をまるごと借りるような感じで宿
泊します。宿泊客以外は基本的にはいないので、プライバ
シーが保たれていて、そういった面からもとてもリラック
スできる空間でした。

【ルヌガンガへの道中で】
 私はコロンボから電車でベントタ付近の駅まで行き、ト
ゥクトゥクと呼ばれるタクシーのように使われている3輪
の原付バイクのような車でルヌガンガにたどり着きました。
印象的なのは電車の車中でのことです。スリランカ的(?)
な、電車の乗り降りのドアが完全に全開のまま走り続け、
海岸線沿いということもあり、広大なインド洋の海を眺め
ながら、そして気持ちの良い海風を浴びながら2時間程揺
られて駅に到着しました。

【ルヌガンガで感じたこと】
 さて、前置きが長くなってしまいましたが、ルヌガンガ
は本当に理想郷と呼ぶにふさわしい大変美しく素敵な場所
でした。ルヌガンガのためにスリランカに行ったといえる
ほど期待して訪れたのですが、完全に期待以上でした。

 あまり饒舌になっては長くなりすぎるので、特に強く感
じたこと、印象に残ったことだけいくつか書かせて頂きま
す。

@原始的なるものとモダニズムの融合
 バワ建築について、ある本には「スリランカのアニミズ
ムモダン」と副題がついています。日本的な解釈をするな
ら、石や山、海など万物に存在する八百万の神的な原始的
なものと現代的なものの融合ともいえるのではないでしょ
うか。別の言い方をするなら、バワは「スリランカ的なる
もの」と現代的モダンを融合洗練させた建築とも言えるの
ではないかと思います。
 私は、「日本的なるもの」と言える建築を新たに生み出
したいと常日頃から考えて設計活動をしています。昔のま
まではなく、かといってモダニズムといいますか、コルビ
ュジェの系図に乗ったり、コルビュジェ的様式に傾倒する
のでもない、温故知新、何か新しくて懐かしい、その国に
生まれ育った人間だからこそ感じることのできる、何か魂
の奥深いところが揺さぶられるような建築、新しい価値観
を生み出せないかと考えています。
 バワは、スリランカ的手法でそれを実現した稀有な建築
家ではないか、そう思ってバワ建築を観ないではいられな
い気持ちにさせられました。その哲学やヒント、手法など
を、少なからず肌で感じることが出来たのは貴重な体験で
した。

A木の使い方
 逆説的な言い方かもしれませんが、豊かな木造建築を創
るためには、必ずしも木材を仕上材として沢山見せる必要
は無いということを悟りました。大切なのは、見せる木材
の部位や形状、質、その他、いかに効果的に狙って見せる
かということのようです。

B原始的なもの、その国らしいものをつくるために
 これも逆説的な言い方になってしまいますが、原始的な
その国らしい建築を"新たに"生み出すためには、とびきり
モダンな要素やアーティスティックな個性的形状の何か等
を、質を重視して選別し、恐れず取り入れることは大変有
効であると確信しました。

C借景の大切さ
 ルヌガンガで最も感動したポイントの一つは、湖を借景
に最大限取り入れていることだと思います。スーツケース
を持って汗だくで受付の部屋に通された時に味わった、絵
画の額縁のように四角く切り取られたレイクビューのある
美しい空間でのひと時は、空間の質の高さと相まって、今
まで味わったことの無い豊かで何とも満たされた時間でし
た。また、ディナーを食べた場所から見える芝と湖、山と
の雄大な自然と庭、建築との調和、これらは明らかにバワ
が狙って設計したのだとひしひしと感じました。借景を活
かすというのは設計の基本だと思いますが、ここまで見事
に活かしきるとは、バワの設計力、構想力の素晴らしさは
ほんとに畏怖心すら覚えます。

【スリランカについて】
 仏教国だからかとてもいい人が多く、スリには気をつけ
ないといけませんが、基本的には安心して街を歩けます。
料理はカレーのようなものが多く、スパイスがとても効い
ていておいしかったです。(僕はスリランカ料理はどれも
おいしく食べれて好きです。)バワの美しい写真ばかりを
掲載しましたが、一歩外に出ると、日本の昭和初期?と思
えるような、バラックのような簡易な建物が多く立ち並び、
道路はクラクションが鳴り続け、ビンテージカーのごとく
古い車が溢れる、ある意味エネルギーを感じる場所でした。
また、由緒ある仏教寺院にも訪れたのですが、敷地内に入
るときには素足になり、熱田神宮への参拝のごとく多くの
教徒がかなり真剣に祈りを捧げていました。
あと、赤道に近いので当然日本より暑いと思っていたので
すが、以外にも名古屋より明らかに湿度が低く過ごしやす
かったです。
アルコールについては、現地のビールもおいしいのですが、
アラックという名前のココナッツの蒸留酒がおすすめです。
どちらかというとラム酒やスコッチウイスキー寄りのフレ
イバーだと思います。

【余談】
 余談ですが、ここの宿を予約するのはとても大変でした。
いつもは海外の宿を予約する時はエクスペディアなどのサ
イト経由で予約するのですが、ルヌガンガはそういったサ
イトでは予約できず、直接英文メールで予約のやり取りを
何度もしなければなりませんでした。また、宿泊費も当日
のクレジットカード決済ではなく海外送金が必須とのこと
で、海外送金用の書類を銀行のテレビ電話を使って複数提
出してやっと予約が完了しました。




posted by てくてく at 23:19| 愛知 ☀| Comment(0) | 建築探訪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月03日

建築探訪92(カップマルタンの休暇小屋/ル・コルビュジェ)



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サボテンの花。10年に一度くらいしか咲かないそうです。
貴重なものが見れました♪



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 今回は、南フランスの旅行で訪れた、ル・トロネ修道院
に次ぐメインディッシュの一つ、あの!ル・コルビュジェ
のカップマルタンの休暇小屋です。

 カップ・マルタンの休暇小屋は1952年8月コルビュジェが
最晩年である65 歳のとき、わずか8畳ほどの面積に最小限
寸法という建築テーマのもと設計完成したヴァカンス用の
小さな別荘です。

 ル・コルビュジェは、フランク・ロイド・ライト、ミー
ス・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」
といえる大建築家で、僕も学生時代、彼の代表作ともいえ
る「建築をめざして」という本を読んでは大いに影響を受
けました。

 現在に至っても、いわゆるコルビュジェの流れを汲んだ
ような、白くてシンプルで真っ白な箱、彼の提唱した5原
則のうちの、自由な平面、自由な立面を汲んだ家が沢山あ
り、また、そんな思想やイメージを汲んだ建築が、新建築
という主流の建築雑誌をいつも賑わしています。

 確かにカッコいいですし、写真映えもして、審査員映え
もして、僕自身も学生時代、そういった作風に大いに憧れ
もしましたし、今でもカッコいいと思います。ただ、今の
僕の理想は色々異なりますし、僕は、ひたすらわが道を行
こうとも思っています。

 そんな?無数の建築家の憧れで、僕自身にとっても大い
に影響を受けたコルビュジェの晩年の別荘、それが、今回
のカップマルタンの休暇小屋です。

 このカップマルタンの休暇小屋といい、彼の晩年の傑作
のロンシャン教会といい、一体、彼が一世を風靡した5原
則を全く無視した晩年の名作は何だったのか、彼の建築の
本質は、実はその晩年の作品にこそなるのではないか、そ
う、つい妄想してしまいます。

 さて、実際にカップマルタンの休暇小屋に訪れて僕が最
も感じたことは、なんと美しく素晴らしい立地なんだ、と
いうことです。
 何とも美しい地中海のコート・ダジュールの東端に位置
するカップマルタンは、美しい海と海岸沿いの白い街並み
が、とても×2美しいです。ニースとは違いとても静かで
、世俗の喧騒にも隔離され、世界中で、これほど思索にふ
けることのできる美しい立地は果たして存在するのだろう
か、と思えるほど魅力的な場所でした。
 そんな場所を好んでコルビュジェは選んだのか、と思う
と、何かコルビュジェの魂と触れ合ったような?(大げさ
?)何とも言えない喜びと満足感を感じてしまいました。

 それにしても、たった8帖程度の小屋だけあって、とて
も小さくて簡素で、シンプルな別荘でした。この当時のコ
ルビュジェであれば、その気になれば贅を尽くした大豪邸
でも建てられたはずなのに、よりによってこんな別荘を建
ててしまうなんて。そんなコルビュジェの価値観に僕は大
いに共感し、自分の晩年にも、日本なのか海外なのかわか
りませんが、美しい海を味わえる絶景スポットに、思索に
耽れる、静かなで簡素で小さな休暇小屋を作りたいと物思
いに耽る思う今日この頃です。

 あぁ、本当にいいものを観させて頂きました♪


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posted by てくてく at 02:37| 愛知 ☁| Comment(0) | 建築探訪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月21日

建築探訪91(ル・トロネ修道院)



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 今回のル・トロネ修道院は、この前お伝えした南フラン
ス旅行の時に、私が最も訪れたかった、いわば今回の旅行
のメインディッシュと言っても過言でない建築です。

 この建築は、11世紀から12世紀のロマネスクの時代
に建てられました。

 世の中には、いわゆる名建築と呼ばれる建物は本当に数
多く存在するのですが、本気で建築の道を歩んでいる建築
家の多くが、このル・トロネ修道院を好きな建築の上位に
上げたり、または、一度は実際に見てみたいと思っている
ことが予想される、そんな特別な建築です。(一般の方に
は、これのどこが??、と思われるかもしれませんが・・・)

 今では世界的建築家である安藤忠雄さんが20代の時、
独学で建築の道を歩む決心をし、数回の世界旅行を企てた
際、何回目かの旅でル・トロネ修道院も訪れています。そ
して、その旅の中で命がけで修道院建設に取り組んだ修道
士の生涯を描いたル・トロネ修道院の建設物語である『粗
い石』という本を何度も読んだ、ということや、世界で最
も偉大な建築家の一人と言っても過言でない、ル・コルビ
ュジェがラトゥーレット修道院を設計する際、その依頼主
である神父さんに、ル・トロネ修道院を見に行くようにと
指示されたことも、この建築を建築家の間で有名にした一
因だと言えそうです。


 さて、実際に行ってみた感想ですが、それにしても、そ
・れ・に・し・て・も、たどり着くのが本当に大変でした。
 旅行前から本やブログをチェックして、どうやって行こ
うか色々研究?したのですが、これだ!といえる行き方が
結局見つからず、現地の人に聞きながら模索しました。そ
れくらい辺鄙な場所、行きづらい場所にあります。

 ニースからレンタカーを借りて、片道3時間程の長距離
ドライブをしながら行こう!という方針を現地で立てたの
ですが、なんと!僕の国際免許がまさかの期限切れ・・・

 かなり心は折れたのですが、気を取り直してホテルの人
に相談すると、高速バスに2時間30分ほど乗って
BRIGNOLESというバス亭で降りれば、そこにはタクシーは
沢山ある、そこからタクシーでル・トロネ修道院に向かい
、そのタクシーで帰って来て、帰りの2時台の最終バスに
乗れば帰ってこれる、と教えて頂く。
何ともハードルの高い厳しい計画ですが、その計画を決行
しました。

 行きの高速バスの道中は道が大渋滞でしたが、何とか無
事予定のBRIGNOLESというバス亭で下車。タクシー乗り場
にはタクシーは1台も無い。ん?現地の人にタクシー会社
6社に連絡をして頂き、何とか1台のみ予約完了。しかし、
予定時間をとっくに過ぎてもタクシーは来ず。別の現地の
方にタクシーを予約して頂く。しかし、またしてもタクシ
ーは予定時間をとっくにすぎていても来ず、最終バスの時
間がせまってくる・・・

 待っている最中に、サラーという英語の全く通じないお
ばさんと身振り手振りで仲良くなり、そのサラーさんの兄
弟が困り果てた僕らのところへ偶然やって来ました。事情
をサラーさんがその兄弟へ伝えると、僕らをその兄弟の方
が車で往復してあげるよ、と打診してくれました。

 そんなこんなで、無事、ル・トロネ修道院にたどり着く
ことが出来ました。(本当に、人生ご縁ですね(汗汗))
ちなみに、パリは英語の通じる方が多いのですが、南仏は
英語の通じる一般の方はほとんどいませんでした。参考ま
でに。


 ル・トロネ修道院へは、本当に大きな期待をして行きま
した。そしてその上で、実際にル・トロネ修道院を観た感
想は、はるかにその期待を超える、本当にものすごい建築
でした。僕は、名建築は割といろんなところに足を運んで
沢山見ているつもりなのですが、これは、本当に今までの
建築観を変えるくらいの質だと思いました。感動しました。
行く前の僕がそうだったように、おそらく多くの方が、こ
の写真や、ル・トロネの写真集からではその感動は伝わら
ないのではないかと思います。やはり建築の魅力の本質は
『空間』で、その空間の『質』は、その空間に実際に身を
置いて体感しないと分からないんだ、と改めて痛感しまし
た。

 装飾は極めて少なくシンプルな空間です。同じシトー派
の修道院で「プロヴァンスの三姉妹」と言われるセナンク
、シルヴァカーヌと比べても異質なほど装飾は少ないです。
それが、この修道院の魅力にもつながっている最大の要因
の一つだと思います。
 秩序よく並んだ窓の大胆で彫りの深い開口部からの光に
よる明と暗の対比の美しさ、シンプルであるがゆえに際立
つ丁寧に削られた、石の、いかにも石らしい素材としての
魅力。そして、窓の彫りの深い開口部や階段などによる、
渾然一体となった空間全体の彫刻的で、立体的、幾何学的
な美しさ。動きのある、繊細で、きらびやかで、線や面と
しての美しさ、というよりは、静かで、朴訥とした、明暗
や単色といったより原始的、根源的、そして量塊としての
魅力・・・
 開口部や柱の端部などの、いわゆる『際』には、宗教色
の強い建物ほど、そして、大切な思い入れの深い物ほどデ
ザインしたり装飾したくなるのが世の常なのに、ここまで
何もしないなんて・・・

 これは、安藤忠雄さんの建築の魅力にも近いかもしれな
い、と思いました。ただ、何かもっと力強いものを感じま
した。

 理想の建築って・・・

 あぁ、奥が深い。何だか果てしないですね。

 今後の建築にどう活かしていったらいいのか。

 大切な『気づき』を、この建築から頂いた気がします。

 そして今後も、僕の建築に対する模索は、今まで以上に
続いていきそうです。



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2012年09月06日

建築探訪90(CUTビル/毛綱毅曠)



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[今日の一枚]

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 今日の一枚は、建築家 毛綱毅曠(もづなきこう)さんが設計した、CUTビルです。

 毛綱毅曠さんは、1941年(S16)に北海道釧路市に生まれます。神戸大学工学部
建築学科卒業後、同大学の助手として勤務し、毛綱モン太の名で設計を始めます。
そして、31歳の時に、母親のための住宅として自らの設計・デザインによる初め
ての建築作品「反住器」という名の住宅を生み出し、デビューを果たします。

 「反住器」は、およそ住宅と呼べるような外観ではなく、建築史家の藤森照信
さんはその「反住器」に再び訪れた際、下記のように述べられています。

 「できて31年もたつというのに、その間、何度もいろんな本や雑誌に取り上
げられて目にしてきたというのに、その異彩ぶりというか、食堂でご飯を求めた
ら石コロを出されたようなとまどいはまったく変わらない。」
 「私の目には、<反住器>だけは特別で、31年たった今でも、違和感、異物感
が基本的には消えていない。その前に立つと、目にズキッとくる。他人の目玉に
クギを打ち込むのが前衛というなら、<反住器>は今も前衛のままなのだ。これだ
けの前衛性は、空前といっていいだろう。そして絶後も保証されている。」




 そんな、ある種、不思議な建築をつくってこられた毛綱毅曠さんの作品が、岐
阜県岐阜市の中心部にあります。それが、今日ご案内させて頂く「CUTビル」
です。
 昔、使い捨てカメラで夕方ころ撮影した「CUTビル」が上の写真で、かなり
画像が悪く恐縮ですが、美しさといった概念とは違う、奇妙感じは伝わるのでは
ないでしょうか。

 私は当時、どんな摩訶不思議な空間を体験できるのだろうと、ある種のお化け
屋敷的な、非日常が味わえるのではないかという期待感に胸を躍らせて、現地を
訪れました。
 そして、外観を観て、入れるところまで内部を拝見して感じたのは、意外にも
実用的で合理的なプランニングの上手さでした。
 狭い間口にもかかわらず、その間口を目いっぱい有効に活用し、階段配置や上
り下りの計画も、困難な敷地条件に対し、実に合理的に計画されており、感心し
てしまいました。また、上部の突起物は、どうも荷吊用のようで、実際に使える
かどうかは分かりませんが、単なる奇抜さを求めたデザインではないようです。



 ある種、シンボリックで造形的で彫刻的かつ独創的な建築も、見方によっては
興味深く、面白いものです。
 ハウスメーカー的な建築や、欧米的、昭和在来工法的、ル・コルビュジェ的、ミ
ース・ファン・デル・ローエ的、またはヘルツォーク&ド・ムーロン的、SANA
A的など、建築雑誌を賑わす既知の建築を目指すばかりではなく、毛綱毅曠さんの
ような独特の「作家性」の強い建築が、もっと増えたらいいなぁと、いち建築ファ
ンとして思いました。


 

場所 :岐阜県岐阜市金宝町1-15-1
作品名:CUTビル(1987年竣工)
建築家:毛綱毅曠
「反住器」に関する参考図書:藤森照信の原・現代住宅発見2/TOTO出版



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