永井政光建築設計事務所HPはこちら![今日の一枚]
今日の1枚は、本業は建築史家(建築の歴史の専門家)でありつつ、近年
注目の建築家でもある、藤森照信さんの設計した
神長官守矢史料館 です。
藤森照信さんの私観を含めたご紹介は、建築探訪8(秋野不矩美術館)をご
参照下さい。
さて、今回ご紹介する神長官守矢史料館も、藤森照信さんらしい、原始的で
自然素材の質感、素材感たっぷりの建築です。
特に、玄関入口前の屋根を大きく突き抜けた2本の木材は、合理主義的な
視点で見ると意味不明な要素だと思いますが、藤森建築を語る上で、こここ
そが、この建築の重要な部分だと私は思います。
突き抜けた木の生命力というか、存在感というか、理性というよりは情動的
な感覚。それは音楽に例えるなら、理路整然としたクールで美しい旋律という
よりは、縄文時代に炎を囲んで踊りながら奏でたであろう、力強く大地を響か
すリズムのような生命感、ともいえるかもしれません。
私が生まれて始めて感情を揺さぶるような、「感動」を覚えた建築は、大学
時代にニューヨークで観た、セントパトリック大聖堂という巨大なゴシック建
築でした。
奥のステンドグラスに向かって、整然と並ぶ巨大な列柱とリブヴォールトと
呼ばれる屋根の構造が生み出す、圧倒的な巨大空間の「空間感」(空間感
は私の造語です。)は本当に圧巻で、思わず小さい声で「すごい!」と口に出
してしまいました。
建築は、感情を揺さぶるような、本能を呼び覚ますような、ある種の官能的
ともいえるような造形芸術にもなりうるものだと、私は考えます。
藤森さんの一連の建築は、大まかにいうとそういうベクトルで創作活動をさ
れてるような気がしてます。
一芸術分野である建築の、大いなる可能性に思いを馳せながら飲むジャック
ダニエルは格別です。
場所 :長野県茅野市宮川389-1
作品名 :神長官守矢史料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)(1991年竣工)
建築家 :藤森照信
永井政光建築設計事務所HPはこちら!
posted by てくてく at 22:20| 愛知 ☀|
Comment(0)
|
建築探訪
|

|